世にむきだしの悪というものはない、必ず大義名分を表に立てているものだ。
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シェイクスピア『ヴェニスの商人』
「なるほど、そうかもしれぬ、外観は中味を裏切るものだ。いつの世にも人は虚飾に欺かれる。裁判でもそうだ、どんないかがわしい曲がった訴訟でも、巧みな弁舌で味つけすれば、邪な心のひだを消しされるではないか?宗教にしても同じこと、どんな異端邪説でも、殊勝げな坊主がそれを祝福し、聖書の言葉に照して、もっともらしく解説しさえすれば、その忌まわしさも虚飾のかげに隠しおおせるではないか?世にむきだしの悪というものはない、必ず大義名分を表に立てているものだ。(後略)」
Written & Photographed by Aki Kunitake